無観客試合 制裁を無駄にしないために浦和レッズが向き合わなければならない問題の本質とは


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3月23日、Jリーグで初の無観客試合が行われました。
そのJリーグ史上不名誉な試合は、浦和レッズvs清水エスパルス戦(埼玉スタジアム2002)でした。

私はテレビで観戦しましたが、観客席には誰もいないスタジアムでの試合はまるで練習試合と見まごうようでした。場内アナウンスすらなく、聞こえてくるのは選手や監督の声ばかりでした。

歓声や声援の無い中で選手や監督の声だけが響くというのは、どこかスカスカで気の抜けたコーラのように味気ない試合でした。

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制裁は誰が受けたのか

事件は3月8日の試合でおきました。

その日、埼玉スタジアムで行われた「浦和レッズvsサガン鳥栖」戦で浦和レッズサポーターがゴール裏入り口に「JAPANESE ONLY」という差別的な内容と受け取れる横断幕を掲出しました。浦和レッズのクラブは試合が終了するまでの間、横断幕を撤去しなかったことに対して、Jリーグ村井チェアマンが下した制裁措置が無観客試合でした。

この無観客試合により浦和レッズは1億円近い損失を受けたといわれています。
試合当日のグッズ販売やその他の経済効果も含めると、それ以上の経済的損失であったことは想像にかたくありません。

同時にサポーターもまた直接の制裁を受けることになりました。

損失を被ったのは浦和レッズのクラブとサポーターだけではありません。
無観客試合の対戦相手である清水エスパルスとそのサポーターも、とばっちりを受けることになってしまいました。

そればかりか無観客試合の当事者チーム・サポーターのみならず、Jリーグの全てのクラブやサポーター、日本のサッカー界に影響を及ぼす措置となったことは想像にかたくありません。

制裁金や勝ち点没収などとは比較にならないほどのインパクトが、無観客試合にはあるのだということがわかったような気がしました。

問題の本質

3月28日浦和レッズ公式サイトのインフォーメーションに「ファン・サポーターの皆さんへ」と題して、サポーターグループの11チームから解散の申し出があったことが発表されました。

そして、3月29日の対ヴィッセル神戸戦(ノエビアスタジアム)は3-1で負けました。浦和レッズの敗戦は横断幕事件が浦和のチームに精神的な影響及ぼしてのことなのかどうかはわかりません。ですが、少なくとも私は影響したであろうと考えています。

3月30日朝日新聞朝刊のサッカーコラム欄「side change」には、問題が起きた原因に正面から向き合っていないので本質的な解決にはならないとありました。
同感です。

横断幕やフラッグをトップチームのみならず、浦和レッズレディースやユースチームまでも禁止したりすることに、どのような効果があるというのでしょうか?
サポーターグループが自主的に解散をしたことは、本質的な解決に向けて前進したと言えるのでしょうか?

横断幕事件を未然に防げなかった原因は、別なところにあったのではないでしょうか。

解決を望むならば

社会というのは犯罪を犯したものが悪いといいます。暴動を起こせば暴動を起こしたものが悪いとされています。

ですが、暴動を起こすには必ず背景や理由があるわけで暴動が起きる原因があるのです。その原因が一部の権力者だけが富を蓄えて潤い市民は貧しい暮らしを強いられていたとしたら、暴動を起こした市民は悪なのでしょうか?

横断幕事件を振り返ると、横断幕を張りだしたサポーターが悪いのは確かです。ですが、そういう行動を許してしまう風土があったことが一番の問題です。良識あるサポーターの中には、例の横断幕を見て「マズイな」と思った人もいたようです。ですが、それを張りだしたサポーターグループに直接言うことはできなかったようです。ゴール裏では一部のグループが支配するようなエリアとなっていて、それに逆らうことができなかったと考えられます。

対してクラブはどうだったのでしょうか。クラブは横断幕に気づきながら、ことの重大さに気づきませんでした。そして横断幕を張りだしたグループと話しをしながらも取り外させることをしませんでした。まるで、クラブ側がサポーターグループにお伺いをたてて断られたような構図です。一部のサポーターグループがクラブまでも支配していたなどとは思いませんが、クラブの対応に腰が引けていた感はぬぐえません。腫れ物に触るような対応だったのではないかと想像してしまいます。

横断幕事件が起きてしまった原因はここにあります。クラブとサポーターと、そして両者の関係に問題があったのです。

だから、横断幕を禁止したりサポーターグループを解散させたりすることではないはずです。未熟なクラブとサポーターの教育と啓蒙が必要です。そして、両者をつなぐコミュニケーションが不可欠です。これらを実現するための対策でなければ、本質的な解決は望めません。

ビッククラブへ

Jリーグが世界の主要リーグになるためにはビッククラブの存在は不可欠です。なので、多くのサッカーファンは真のビッククラブの登場を待ち望んでいるはずなのです。

Jリーグの中でビッククラブに最も近い位置にいるのは浦和レッズです。ですが、今回の事件でクラブやサポーターが萎んでしまっては、浦和レッズというクラブのみならずJリーグはおろか、日本のサッカー全体にとってマイナスとなってしまうことは明らかです。

だから私は、浦和レッズがビッククラブに成長してくれることを願わずにはいられないのです。